車両保険は自身の車を財産として、車に何らかの損害が生じたときにその損害を補償するというものです。しかし、車両保険を利用して修理をした場合、翌年の等級が1等級、もしくは3等級ダウンしてしまいますので、加入をしていないという人もいます。その車両保険に自動付帯される「車両保険の無過失特約」について紹介をします。
対物賠償保険に未加入車とのもらい事故
赤信号などで完全に停車していたのに、後ろの車が突っ込んできて、車に損害が生じてしまったという、もらい事故は以外と多くあります。
この場合、事故を起こした加害者が任意保険の対物賠償保険へ加入していると、その対物補償保険から車の修理費が捻出されますので、事故に遭ってしまった人は自腹を切ることなく車を修理することが出来ます。
しかし、中には任意保険に加入していない、無保険車という危険な車も存在します。無保険車の場合、怪我をしたら自賠責保険から治療費などが支払われるのですが、この自賠責保険は、車に起きた損害までは補償しませんので、無保険者が自腹を切って修理をおこなわなければなりません。
それなのに、修理費を一切払わないと事故を起こした加害者が言い張れば、修理費は払われませんので、裁判所にて支払命令の判決を勝ち取る必要があります。この裁判のための労力と車両保険を利用、もしくは自腹を切った労力を比較すると、圧倒的に車両保険の利用もしくは自腹を切った方が楽に済みます。
また、加害者に修理代を支払うだけの能力がなければ、裁判をしたとしても、修理費を受け取ることができず、最終的には車両保険、もしくは自腹を切ったうえで泣き寝入りとなります。
車両保険の無過失事故特約について
このような理不尽なもらい事故からの最悪な事態を避けるために「車両保険の無過失事故特約」は存在します。
つまり、車両保険に入っていれば保険会社から保険金が出るのです。しかも、この特約がカバーしている事故と証明することができれば、車両保険を利用して車を修理したとしても翌年の等級はダウンしないのです。
日本の任意保険の加入率
余談ですが、2006年3月末での任意保険の加入率は以下の通りです。
- 対人賠償保険:71.2%
- 対物賠償保険:71.1%
- 車両保険:37.3%
これらのことから、車両保険の加入率はそこまで高くなく、対人・対物賠償保険も3割近くの人が未加入となっているわけです。そのため、自身が無過失事故に遭って泣き寝入りをする可能性というのは、0ではありません。
車両保険の無過失事故特約が利用できる場合
車両保険の無過失事故特約を利用することができる事故は下記の通りです。
- 車対車(原付を含む)の衝突事故である
- 事故発生時の車両保険加入者が無過失であることが確定している
- 事故相手の自動車登録番号など、相手運転手の住所・氏名を確認できること
つまり、相手が確実にわかっている必要があり、当て逃げの場合は利用することができないという欠点はありますが、加害者の情報を確認することができていれば、この車両保険の無過失事故特約が利用できるのです。
欠点にさえ目をつぶれば、保険を使用しても、保険を使用したことにならずに修理ができますので、車両保険は無過失事故対策にも役に立つのです。
まとめ
車両保険に関しては、加入してもそこまでメリットが無いとして、加入をしないケースもありますが、無過失の完全なもらい事故の際に役立つ車両保険無過失事故特約が自動付帯されています。
当て逃げの場合は利用することができないのですが、無過失であり、相手の情報をしっかりと把握することができれば、車両保険無過失事故特約を利用して車を修理することが出来ます。
そして、この特約を利用した場合、保険の等級がダウンしませんので、実質保険を使用したことにはなりません。それなのに、修理代金は保険として出るのでお得といえます。